ミャンマーウオッチ2020年7月号 No.15

2020年7月17日発行

ミャンマー関連するお仕事の参考にしていただけるよう、今月のミャンマーの出来事を5分で理解できるようまとめてあります。ぜひご活用ください。

なお、ミャンマーウオッチは、任意団体「ミャンマー研究会」が毎月発行する月例ミャンマー報告です。急速に発展してきているミャンマーの今を5分で理解できるようにまとめてあります。合同会社あうんは、この月例報告の作成をお手伝いしております。

【政治】

選挙管理委員会は、11月8日に総選挙を実施すると発表した他、立候補の届出期間や区割りを発表した。また、大統領以下閣僚も7月より政党活動を許可する旨を発表した。

政府は、停戦合意した少数民族武装勢力との話し合いの中で、包括的な和平を話し合う21世紀のパンロン会議を8月の第2週に開催することに合意した。今回の会議では、新型コロナ対策を理由に、前回まではオブザーバーとして参加を許可されていた停戦合意に署名していない少数民族武装勢力は会議に招待されてない予定である。

【経済】

政府は、今年度中に2兆8千億チャットの予算を、4月に発表した新型コロナ経済対策に当てる。また、中小長期的な復興計画も策定中であると説明している。

世銀、IMF、ADBは今年のミャンマーの経済成長率をそれぞれ0.5% 1.5% 1.8%と予測している。

【社会生活】

新型コロナ感染症予防のために行動規制が、7月末まで延長されたが、社会生活は日常を取り戻しつつある。雨期に入り例年のように水害やデング熱の流行に注意喚起している他、アフリカ豚熱やサバクトビバッタ(被害未報告)に対しても注意喚起している。

【国際関係】

EUはミャンマーに対して債務の支払いを2020年5月から12月まで猶予すると通知し、他の債権国に対しても同様の措置を取るように求めた。

【中国】
【人道援助】
【軍部】

新型コロナ規制期間中にもかかわらず、国軍最高司令官は、ロシアの戦勝記念式典に出席した。

国軍は、アラカン軍の掃討作成を行うとして、ラカイン州北部の一部地域に一時的な避難を呼びかけた。同地域に展開する国軍部隊の兵士による文民への拷問殺害、レイプ等の人道法違反が奉公されているが、国軍は一貫してこれへの兵士の関与を否定している。

【少数民族】

ラカイン州北部でアラカン軍と国軍との戦闘により、約20万人の避難民が発生している。

【労働者】

労働入国管理人口省によると、新型コロナの影響により約24万人が失業した。(国内での失業者が14万人、海外から帰国した出稼ぎ労働者が10万人)労働者海外派遣は停止中。

カチン州の翡翠鉱山のボタ山が崩壊し、「非合法的に」採掘していた労働者200名弱が犠牲となった。政府はこの事件を重く見て、大臣級からなる調査員会を立ち上げた。

【学生】
【市民社会】

政府は、新型コロナ感染症についてのフェイクニュースを流しているとして2つのサイトの遮断を通信会社に要請した。テレノールはこの決定に対して講義する声明を発表した。

ミャンマー:新型コロナウイルス感染症情報

感染状況(7月16日現在)累計患者数339名、死者数6名、回復患者数270名

この1か月に確認された陽性者のほぼ全員が海外からの帰国者であり、政府は新型コロナウイルス感染症の蔓延を封じ込めることに成功しているとの姿勢に変化はない。しかし、アウンサンスーチー氏は、克服したと喜ぶにはまだ早いと、拙速な緩和に対して慎重である。(保健スポーツ省感染状況報告参照)

映画館やカラオケと言った遊興施設や語学学校や労働者研修機関等は、まだ営業できないようであるが、政府の懸念とは裏腹に生活は徐々に日常に近づいている。

7月16日ラカイン州において渡航歴もなく、接触歴もない陽性患者が、1か月ぶりに確認された。

行動制限 制限措置7月末まで延期

 政府は、唯一インセイン区に出されていた自宅待機要請を6月末に解除したが、一連の行動制限措置については7月末まで延長すると発表している。問題は何が制限されるのか、市中の実態と乖離しているため、制限内容が不明瞭で、恣意的な運用がなされる可能性がある。例えば、イベントの開催禁止については正式に解除するとの発表が無いが、エラワディ地域政府は、保健スポーツ省の指針に従いイベントの開催は可能としている。

 夜間外出禁止や市場でのマスク着用は義務化されているが、これに違反した場合の対応も緩やかになってきている。

出入国対策 国際線の再開は第3四半期後半

 外務省は査証の発給及び発給済み査証の効力停止を7月末まで延長した。一方で国家事業に関する外国人専門家に対しては、個別に査証を発給している。政府発表によれば国際線の運航停止は7月末となっているが、副大統領は旅行業振興会議で国際線の再開は第3四半期後半になる見込みだと説明した。

 空路、陸路を通じて多くのミャンマー国民が帰国している。(空路約8千人、陸路約7万人)このため入国後3週間の防疫施設隔離、その後1週間の自宅待機が要請されている。一方で外国人に対しては、事前隔離証明と陰性証明で入国後の隔離期間が短縮されている。中国に対しては、特別の迅速化措置を取り、陰性証明と入国直後のPCR検査、5日後の再検査で陰性であれば、現場復帰可能とされる。

経済対策 新型コロナ対策に2兆8千億チャット

計画財務工業副大臣は、4月末に策定した新型コロナ経済対策に2兆8千億チャットの予算を充てると国会で説明した。この1か月の間に政府は、旅行・縫製・中小企業向け緊急融資を追加で1000億チャット貸出す計画の発表、1エーカーにつき5万チャットを融資する農家向け特別融資、一世帯に2万チャットを2回給付する低所得者向けの現金給付、農村約2500村を対象に1村につき1000万チャットのインフラ事業に農民を雇用して行うキャッシュフォーワークプログラムの実施を発表している。

労働入国管理人口省は、新型コロナ感染症予防対策を講じた工場・事業所に対して営業再開を許可しているが、継続して対策を実施しているか抜き打ち検査を行うと発表した。

なお、合同会社あうん「新型コロナ感染症情報」ページでは、現状をもう少し詳しくまとめてあります。

ミャンマー選挙ウオッチ

選挙日程 投票日発表 118日(日)

 選挙管理委員会は、新型コロナの影響を見極めるとして総選挙の実施日を公表していなかったが、6月末に、前回、前々回の総選挙とほぼ同時期の11月8日(日)に総選挙を実施すると発表した。また、立候補者の受付を7月20日より8月7日まで受付け、8月17日までにその審査を終えると発表した。これにより選挙運動期間は、8月18日以降となる見通しである。

 また、選挙管理委員会は、選挙人名簿を7月25日から8月7日まで掲示するので、選挙人名簿に不備がないか確認するように、国民に促している。海外在住のミャンマー国民に対しても事前投票の手続きを取るように訴えている。

 さらに選挙管理委員会は、総選挙の監視を望む国内外の選挙監視団に対して、7月7日から8月15日までの間に、その申請を行うよう求めた。同時に選挙監視団の行動規範についても公表したが、前回の総選挙および予備選挙と比べて、選挙日以降に行われる紛争処理が監視の対象から外れたことに対して、自由で公正な選挙に向けた動きを後退させるものであると批判している。

注目ポイント

選挙管理委員会と政権与党NLDとの関係

 選挙管理委員会は、7月から大統領をはじめ閣僚も、憲法では禁じられている政党活動を正式に開始できる旨を発表した。この発表の直後、NLDは、選挙対策用に政党本部を暫定的に首都ネピドーに移転し、暫定本部の開所式を開催した。イベント開催規制について明確な指針が保健スポーツ省から出されない状況でのこのような動きに対して、前政権の与党であった連邦団結発展党USDPをはじめとする野党は、新型コロナ規制のために政党活動に制限がかかる中、与党を利する決定であると反発している。

 選挙日の設定等をめぐり、政党との対話が欠けているといて批判を受けていた選挙管理委員会は、6月末政党の代表者を集め、選挙運動期間中の政党による行動規範に合意署名するように求めた。その内容自体は、ほぼ前回の総選挙と同じものであるとされるが、連邦団結発展党USDPをはじめ約3分の1の政党は、(アウンサンスーチー氏の父で、建国の父アウンサン将軍などの)歴史的人物の肖像を用いて選挙活動を行ってはならないとする点が盛り込まれていないことを理由に署名を拒否した。

ワ州独立軍やラカイン州北部でも選挙の実施?

 総選挙の実施を発表するに先立って、選挙管理委員会は、選挙区の区割りを発表した。それによると、前回、前々回の総選挙では選挙が実施されなかったワ州独立軍支配地域も、区割りに加えられている他、現在国軍とアラカン軍との武力衝突が継続しているラカイン州北部にも区割りが設定されている。このことからこれらの地域でも総選挙の実施を予定していると考えられるが、これらの地域については直前になって、治安を理由に総選挙の開催を延期するのではないかとの見方が優勢である。

スーチー信奉者の投票行動

 前回2015年の総選挙では、アウンサンスーチー氏は、人物ではなく政党に投票するように訴えたことでNLDは選挙に圧勝した。今回の選挙では、前回盲目的にNLDに投票した人たちの投票行動が注目されている。また、有権者は全国で3700万人に上るとされるが、このうち500万人が初めて投票権を持つ若者であるため、彼らの投票先も注目されている。Facebookのフォロアー数を見ると、NLDを追放された実業家一族の女性議員テッテッカイン率いる人民さきがけ党PPPに勢いがある。

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